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マンション居住の皆様へ、より良いマンション管理を目指して

~マンションの特質~

*「分譲」とは「分割譲渡」という言葉の略です。
一棟のマンションを一戸ごとに「分割」して販売しているので、分譲マンションと呼びます。
 マンションの敷地や建物には
「専有「共用」、「専用」「共有」の区別があります。

*分譲マンション生活において、管理が重要なことは言うまでもありません。
マンション管理の良し悪しが、資産価値の良否をも決定付けます。
マンション管理といっても守備範囲は広く、さらに専門知識も求められます。理解することは容易ではない。
しかし、マンション生活をする上では避けて通れません。他人任せにもできません。無知・無関心は最大の敵です。
 そこで、まずマンションの法的位置付け、から学びましょう。
 マンションの全体構成を理解せずして、円滑な管理運営はできません。

*マンションの定義
 マンションとは、一般的には、区分所有型の集合住宅、主には区分所有形態にある共同住宅をいいます。
しかし、法律上の「マンション」とは、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」といいます。)によれば、「2以上の区分所有者が存する建物」で「人の居住の用に供する専有部分のあるもの並びにその敷地及び附属施設」と定義付けられています(同法2条1号)。
 すなわち、区分所有法の対象となる区分所有建物のうち、住居として使用されている専有部分が一つでもあるものが、法律上の「マンション」ということになるわけです。
 法律上の「マンション」には、区分所有法が適用されるとともに、マンション管理適正化法や、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(以下「マンション建替え円滑化法」といいます。)が適用されます。

 マンションに適用される、①区分所有法、②マンション管理適正化法及び③マンション建替え円滑化法の3つの法律は、「マンション3法」と呼ばれます。
これらに、④被災区分所有建物の再建に関する特別措置法を加え、「マンション4法」と呼ばれることもあります。

◎建物の区分所有等に関する法律: 昭和37年法律第69号 は、
マンションの一室のように、一棟の建物の一部(区分建物)を独立した所有権の対象とすることができるようにし、その場合の権利関係について定める法律です。
正式名称は略して区分所有法と呼ばれる。1962年4月4日に公布された。

概要
本法は、区分所有者の権利義務を定義し、権利変動の過程・利害関係人を明確にする。
また、一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分をそれぞれ所有権の目的とすることができると定め(1条)、当該建物に関する区分所有者の団体(いわゆる管理組合)、敷地利用権、復旧および建替え等について定める。

この区分所有法はマンションに住まう上でとても重要で、暮らしに密着した法律です。
正式には「建物の区分所有等に関する法律」という名称です。
その内容を一言で言うなら、主に一棟の建物を区分して所有権の対象とする場合の、各部分ごとの所有関係を定めるとともに、そのような建物およびその敷地等の共同管理について定めた法律です。

いわゆる分譲マンションについて言えば、各住戸部分は各区分所有者が単独所有するにしても、住戸部分のほかに躯体部分や壁のように、各区分所有者の単独所有とすることができない部分もあります。
各住戸部分は相互に密着していますから、これに伴う相互の権利関係を調整する必要があります。
また区分所有者は、一棟の建物を区分して所有する以上は必然的に建物およびその敷地等を共同して管理する必要があり、そのための機構や方法等について規定しなければなりません。

区分所有法は、主としてこのようなことを定めた法律なのです。
区分所有法とは、主として一棟の建物を区分し、その各部分を所有権の目的とする場合の所有関係を定めるとともに、建物及び敷地等の共同管理について定めた法律なのです。
マンションで生活をするときの基本的なルールとなる法律です。
分譲マンションなどの区分所有建物に関する権利関係や管理運営について定めた法律です。
正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」。「マンション法」と呼ばれることもあります。

・マンションのように一つの建物をいくつかの部分に分けて所有する(区分所有といいます)ときの建物の所有関係、管理の考え方やその方法などを定めた法律です。

マンションは複数の人が同じ建物内で生活するため、集合住宅ともいわれます。
トラブルを未然に防止するためのルールを設けており、それが区分所有法です。
区分所有法とは、正式には『建物の区分所有等に関する法律』といい、主に一棟の建物を区分して、所有権の対象とする場合の各部分ごとの所有関係を定める(分譲する)とともに、そのような建物およびその敷地等の共同管理について定めた法律のことをいいます。

つまり、分譲マンションにおける共同管理などについて定めた法律だということです。
そのため、この法律を別名『マンション法』といったりもします。
一棟のマンションを区分して一住戸ずつを販売しているマンションを「分譲マンション」といいますが、この分譲マンションの部屋の内壁は専有部分です。
この専有部分(部屋)を囲む壁はもちろん専有部分ですが、隣の部屋との間にあるコンクリート部分は共有部分となっています。また居住者が全員使用する廊下も、もちろん共用部分です。
このように、単体では管理することのできない部分が多々あります。
複数の他人が同じ建物内に住んでいるわけですから、当然トラブルの発生も考えられます。
それを未然に防ぐべく、住人たちの権利関係を調整するのが区分所有法です。

それでは、我が国において区分所有法はどのような経緯を経て制定されたのでしょうか?
区分所有建物とは、分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物のことであり、通常の建物に比べて所有関係が複雑であり、所有者相互の利害関係を調整する必要性が高い。
このため、1962(昭和37)年に民法の特別法として区分所有法が制定された。
これにより、専有部分・共用部分・建物の敷地に関する権利関係の明確化が図られ、規約・集会に関する法制度が整備された。

その後、分譲マンションが急速に普及したことに伴って、分譲マンションの管理運営に関するトラブルが生じたり、不動産登記事務が煩雑になるなどの問題点が生じたので、1983(昭和58)年に区分所有法が大幅に改正された。
このときに、区分所有者が当然に管理組合を構成すること、集会での多数決主義、建替え制度、敷地利用権と専有部分の一体化などが定められた。

[関係条文]
(建物の区分所有)
第一条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

(定義)
第二条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。
6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。

(区分所有者の団体)
第三条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。

(共用部分)
第四条 数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。
2 第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。

(規約による建物の敷地)
第五条 区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。

(区分所有者の権利義務等)
第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。

○区分所有された建物の「専有部分」と「共有部分」一つの建物が区分所有されているとき、区分された部分を所有する権利を「区分所有権」、その権利を所有する人を「区分所有者」、その所有された部分を「専有部分」、専有部分以外を「共有部分」といいます。
マンションでは、原則として、壁やサッシ、ドアで区切られた内側が専有部分となりそれ以外は共用部分となります。柱や壁のコンクリート部分やバルコニーも共用部分となります。

・専有部分とは
専有部分とは、区分所有権の目的たる建物の部分ですが、専有部分が専有部分であるためには、その部分が、構造上も利用上も独立している必要があります。

「構造上の独立性」とは、仕切り壁、天井、床、扉等によって他の専有部分と構造上区画されていることであり、ふすまや障子などで部屋の間が仕切られている場合は、外部から自由に出入りできるので、構造上の独立性はありません。

「利用上の独立性」とは、独立した出入り口を有し、直接あるいは共用部分を利用することによって外部に通じることをいい、出入りのために他の専有部分を通らなければならない建物の部分には、利用上の独立性はありません。

○ 区分所有された建物と土地の関係
区分して所有されている建物の部分を所有する権利は区分所有権ですが、これに対応する土地についての権利を「敷地利用権」といいます。
敷地利用権は、マンションの建っている土地が区分所有者で共有されているときは、土地全体の何分の何という形で決められています。
区分所有権と敷地利用権は一体のものとされていて、別々に処分することはできません。

・区分所有法では、共用部分の持分を、専有部分と分離して処分することができないと定められています。
つまり、区分所有者がマンションを売却するときに、専有部分の住戸だけを売却し、共用部分の持分はそのまま所有しているということはできない、ということです。
同様に、敷地利用権の持分を、専有部分と切り離して処分することもできない。

*「区分所有権」
 区分所有者は区分所有権者であり、また専有部分の所有者でもあります。
 専有部分は共用部分なくして物理的にも機能的にも存在し得ないことから、必然的に他の専有部分所有者たる他の区分所有者との交渉を持たざるを得ないことや、また当該専有部分の利用も、共用部分や他の専有部分に対する影響を考慮せざるを得ないため、通常の所有権の機能である~目的物を自由に使用収益する~ということに何らかの制約を設ける必要があります。
 このことは、区分所有法という民法の特別法を制定する理由でもあります。
 民法の特別法(民法に優先する法律)として区分所有法が制定された分けです。

*区分所有建物とは
 一棟の建物につき、建物内の区分された独立の部分をそれぞれ所有するような形態の建物(例えば、一棟の建物の101号室、102号室、103号室をA、B、Cがそれぞれ所有する場合)を区分所有建物といい、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」といいます。)の対象となります。
 区分所有建物においてA、B、Cはそれぞれ所有権を有しており、これを「区分所有権」といいます。
また、区分所有権を有しているA、B、Cのことを区分所有者といいます。
 A、B、Cの各自が区分所有する部分(これを「専有部分」といいます)は、管理規約等で制限がなされていなければ、各区分所有者が各自の目的に従って様々な用途に供することができます。
すなわち、区分所有法の対象となる区分所有建物では、法律上専有部分の用途は問題とされません。

*区分所有者
分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物を「区分所有建物」という。
この区分所有建物において、建物の独立した各部分のことを「専有部分」という。
区分所有者とは、この専有部分を所有する者のことです。
区分所有建物においては、区分所有者は、専有部分の所有権、共用部分の共有持分、敷地の共有持分という3種類の権利を持っていることになります。

*マンションの区分所有者は、マンションの維持管理に関して法律で非常に厳しい制限が課せられています。
 区分所有権の創設は、民法の所有権を大幅に変更したものです。
 マンション管理組合の組合員は区分所有者と表現されるように、一定の部分を専有(または占有)する権利を与えられているだけであることに注意しなければならない。
 区分所有者が負う義務は、団体(管理組合)に対して負う義務です。

○ 区分所有法、マンション管理組合とは
区分所有法では、マンションの管理を行うための区分所有者全員からなる団体が定められています。
マンションでは一般的にマンション管理組合(以下「管理組合」といいます)といわれています。
管理組合は、マンションの共用部分の管理や修繕などについて、集会を開くなどして規約やその他の必要なことを決め、マンションを運営していきます。

・管理組合では、総会で理事長ほか、理事や監事などの役員が選任され、管理組合の執行機関として理事会が開催されますが、区分所有法には「理事長」や「理事会」についての定めはありません。
管理組合法人の場合にのみ理事・監事がおかれ、「代表理事を定めることができる」とされています。
一般の管理組合の場合には、「管理者」を「選任することができる」とされています。
また「総会」という言葉も無く、区分所有法上では「集会」といいます。
「理事長」や「理事会」は規約において規定されています。

○区分所有法、集会
分譲マンションのような区分所有建物において、建物および敷地の管理に関する事項を決定するために、少なくとも年に1回以上開催される区分所有者の集会のこと。
区分所有建物では、区分所有者は管理組合の構成員となります。
この区分所有者の全員が参加する意思決定機関が「集会」です。
一般的には「管理組合総会」「管理組合集会」「総会」とも呼ばれるが、区分所有法では「集会」という名称を使用しています。

・総会は、管理組合の最高意思決定機関であり、年1回招集することが区分所有法で定められています。(区分所有法では「総会」ではなく「集会」と規定)

区分所有法第34条(集会の招集)
 集会は、管理者が招集する。
 ②管理者は少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない。
 
標準管理規約第42条(総会)
 管理組合の総会は総組合員で組織する。
 2 総会は、通常総会及び臨時総会とし、区分所有法に定める集会とする。

・区分所有法では、「管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない」と定めています(同法第34条第1項・第2項)。
ここでいう管理者とは通常は、管理組合の理事長のことです。
また年に1回以上定期的に開催される集会は、一般的には「通常総会」と呼ばれています。
このほかに、特定の議案を審議するために区分所有者の一定数以上の請求により臨時的に集会を開催することも可能であり、こうした集会は「臨時総会」と呼ばれています(区分所有法第34条第3項から第5項)。

○区分所有法、管理者
 管理者とは建物、敷地及び附属施設の管理を行うために選任された者で、区分所有建物の管理をすべて区分所有者が共同で行うのではなく、一定範囲の行為につき特定の者に権限を与え、この者に管理を行わせることによって、区分所有建物の円滑な管理を実現しようとするものです。
多くの管理組合では、理事長を区分所有法上の管理者とし、規約においてその旨規定しています。
 管理者の選任・解任は、管理規約に別段の定めがない限り集会の決議によります(区分所有法25条1項)。

○理事会
 理事会は、区分所有者の中から、規約の規定等に従い選ばれた理事により構成されます。
理事会は管理組合の執行機関であり、総会で決めた事項を実施するとともに、集会で審議する案を作るなどの業務を行います。
また、区分所有法で集会決議でのみ決定できるとされている事項を除き、管理規約の定めに基づき、管理組合の業務を理事会が受任することができます。
したがって、理事会の権限、具体的な業務内容は、マンションごとに異なりますので、管理規約を確認することが必要です。

○理事
区分所有建物の区分所有者が組織する管理組合の理事会において、理事会を構成する役職者です。
理事は、管理組合の集会において区分所有者の中から選出されます。
理事は理事会の一員として、理事会で議決権を行使し、管理規約で定められた理事会の職務を執行します。

○理事長
区分所有建物の管理組合の理事会を招集し、理事会の議長を務める役職者です。
理事長は、一般的に、理事会の理事の互選により選出されます。
理事長は理事会を主宰するだけでなく、共同生活の秩序を乱す行為に対して勧告を行なう権限や、専用部分の修繕に対して承認を行なう権限などを通常持っている(これらの理事長の権限は管理規約・使用細則により定められている)。 また通常、理事長は、区分所有法第25条に定める「管理者」になるので、管理者として集会を招集する(同法第34条)、集会の決議を実行する(同法第26条)などの大きな権限を持っています。

○区分所有法、規約
区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)に基づいて定める規約。
区分所有法では単に「規約」と表記しているが、一般的に「管理規約」と呼ばれています。

建物、敷地、附属施設の管理・使用に関する区分所有者相互間の事項が規定されています。
また、区分所有者全員の利害に関係しない一部共用部に関する事項については、共用する区分所有者の規約で定めることもできます。
管理規約を定める場合には、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならないとされています。
また、規約によって区分所有者以外の者の権利を害することはできない。

管理規約の設定、変更、廃止は、区分所有者の集会において、区分所有者の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上の決議(特別決議)によって決します。

・管理規約の変更について、区分所有法では次の2つの要件を定めている。
1.管理規約を変更するには、区分所有者数および議決権の各4分の3以上の多数によって集会で決議する必要がある(区分所有法第31条)。
2.管理規約を変更しようとする場合に、その管理規約の変更が「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」は、その一部の区分所有者の承諾を得なければ、管理規約を変更することができない(区分所有法第31条)。

管理規約に定める事項については特に定めはないが、国土交通省はマンション標準管理規約を公表し、参考に供しています。
マンション標準管理規約は、単棟型、団地型、複合用途型に分けて示されており、管理規約に定めるべきとされる主要な事項は次のとおりです。

1.敷地、建物、付属施設の範囲
2.共有部分の範囲
3.敷地・付属施設・共用部分に関する各区分所有者の持つ共有持分の割合
4.専用使用権の範囲
5.敷地利用権と専有部分の分離処分の可否
6.使用細則(使用に関する詳細な規則)の設定
7.集会、管理組合、理事会、会計等に関する事項

なお、管理規約は集会で設定されるべきものであるが、マンション分譲業者が最初にマンションの全部を所有している場合には、次の事項に限っては、公正証書で定めることによって、集会を経ずに管理規約を設定することができるとされています。(原始管理規約)
1.規約共用部分
2.規約敷地
3.専有部分と敷地利用権の分離処分の可否
4.敷地利用権の共有持分の割合

:分譲業者の多くは、マンションの分譲に際して、あらかじめ原始管理規約案(分譲当初の管理規約案)等を購入者に提示し、区分所有者となったときに当該管理規約が制定される旨の承認を得る方法をとっています。
 これにより、購入者は建物の引渡しを受けると、それに伴って管理組合の成立、組合役員・理事会の設置、共有持分割合、議決権割合、管理費、修繕積立金等の負担額等を定める管理規約(案)が速やかに制定・発効することが確保されることとなるのです。

・マンション標準管理規約とは、区分所有法に基づいて国土交通省が作成したマンション管理規約のガイドラインです。
マンション購入後に、分譲会社から『管理規約』が配布されます。
これは管理組合運営のルールブックといえるもので、国土交通省の『マンション標準管理規約』をもとに作成されるのが一般的です。
管理規約は、区分所有法の範囲内なら各マンションの事情に応じて改正することも可能です。
管理規約の内容は、マンションの経済価値・資産価値に大きく影響します。

○区分所有法、大規模な修繕を行うときには
マンションの外壁を塗り替えたり、古くなった配管を取替たりする大規模な工事が伴うマンションの修理(修繕)を大規模修繕といいます。
大規模修繕を行う必要性やその箇所、内容は、専門家で交えて検討し、最終的には区分所有者が参加する集会における過半数で実施を決定しますが、共用部を著しく変更する大規 模修繕工事は3/4以上の賛成が必要となります。

○ 区分所有法、建替えを行うときには
区分所有者の4/5以上の賛成によりマンションを建替えることを決められます(建替え決議といいます)。
団地全体を建替えるときは団地全体4/5以上、それぞれの棟の2/3以上の賛成を得る必要があります(団地一括建替え決議といいます)。
また団地の一部を建替えるときは建替える棟の建替え決議(4/5以上)と、団地全体の3/4以上の賛成を得る必要があります(団地建替え承認決議といいます)。

◎区分所有法、義務違反者に対する措置
分譲マンションなどの区分所有建物では、区分所有法の規定により、区分所有者等は、区分所有者全体の「共同の利益」に反する行為をすることが禁止されている(区分所有法第6条)。

(区分所有者の権利義務等)
第6条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
2 <略>
3 第1項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者に準用する。

このような共同の利益を守るために、区分所有法では「義務違反者に対する措置」という条項を設けている。
その内容は次の1).2).のとおりです。

1)区分所有者が共同の利益に反する行為をする場合
この場合には次の3つの措置が用意されている。

①行為の停止等の請求(区分所有法第57条)
ある区分所有者が、共同の利益に反する行為をした場合(またはその恐れがある場合)には、他の区分所有者は、その行為の停止(またはその行為の結果の除去や、その行為を予防するために必要な措置を行なうこと)を、その区分所有者に請求できる。
これは、迷惑行為をする区分所有者に対して、他の区分所有者は誰でもその迷惑行為の停止等を請求できるという意味であるが、実際には管理規約の定めにより理事長が理事会の決議を経て、理事長からその区分所有者に対して正式に行為の停止等を要求することが多い。
なお、この行為の停止等を理事長等が裁判を起こして請求することも可能だが、裁判を起こす場合には、集会の普通決議が必要です。

②使用禁止の請求(区分所有法第58条)
共同生活上の障害が大きく、行為の停止等の請求では十分な効果が期待できない場合には、理事長等が裁判を起こして、迷惑行為をする区分所有者に対して専有部分の一定期間の使用禁止を請求することができる。
この使用禁止の請求をするには、必ず裁判を起こす必要があり、また裁判の提起には集会の特別決議(すなわち区分所有者数の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上の賛成)が必要です。

③競売の請求(区分所有法第59条)
共同生活上の障害が非常に大きく、使用禁止の請求では十分な効果が期待できない場合には、理事長等が裁判を起こして、迷惑行為をする区分所有者の建物・土地に関する権利を、強制的に競売することができる。
この競売の請求をするには、必ず裁判を起こす必要があり、また裁判の提起には集会の特別決議(すなわち区分所有者数の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上の賛成)が必要です。

2)区分所有者の同居人や賃借人が共同の利益に反する行為をする場合
この場合には次の2つの措置が用意されている。

①行為の停止等の請求(区分所有法第57条第4項)
ある区分所有者の同居人や賃借人(区分所有法では「占有者」という)が、共同の利益に反する行為をした場合(またはその恐れがある場合)には、1.の1)の場合と同様に、他の区分所有者は、その行為の停止等を、その区分所有者に請求できる。
なお、この行為の停止等を理事長等が裁判を起こして請求することも可能だが、裁判を起こす場合には、集会の普通決議が必要です。

②占有者に対する引渡しの請求(区分所有法第60条)
共同生活上の障害が大きく、行為の停止等の請求では十分な効果が期待できない場合には、理事長等が裁判を起こして、迷惑行為をする占有者に対して、専有部分の引渡しを請求することができる。
この請求をするには必ず裁判を起こす必要があり、また裁判の提起には集会の特別決議(すなわち区分所有者数の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上の賛成)が必要です。
この請求が裁判で認められると、占有者はその専有部分から退去しなければならない。

○管理費等の支払根拠
・管理費等の支払根拠については、区分所有法第19条(共用部分の負担及び利益収取)に、「各共有者は規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」と決められています。
そのため、区分所有を離脱しない限り、管理費等の支払義務が生じます。
支払当事者が区分所有者である一方、滞納者への支払を請求できる者は、管理組合となります。
管理委託契約により、一定の期間、管理業者が督促をする場合がありますが、これは、管理業者が管理組合や管理者である理事長の業務受託者としての立場で行うものです。
管理業者が督促をしても支払われない場合、管理業者はその責任を免れ、その後は、管理組合の責任において督促することになります。

・管理業者が一定期間に限り督促を行うことは、弁護士法第72条に「弁護士以外の者が、報酬を得る目的で法律事務を行うことができない」と規定されていることによります。
滞納管理費等の督促行為が「法律事務」に該当する場合には、弁護士法に抵触することになるからです。
また、管理組合及び管理業者の督促がしかるべき効果を得ないとしても、個々の区分所有者が滞納者に対し、直接滞納管理費等の支払請求をすることは、管理費等が管理組合の総有又は合有の関係にあると解されていることからできません。 
従って、滞納管理費等の督促・回収は、管理組合が主体となって適時適切に対応することが求められます。

◎マンションの管理の適正化の推進に関する法律
分譲マンションに関する法律は、民法の特別規定として制定された区分所有者の団体における意思決定ル-ル等をその内容とする「建物の区分所有等に関する法律」(以下「区分所有法」といいます。)が唯一の法律でしたが、国民生活におけるマンション管理の重要性がクロ-ズアップされるにつれ、区分所有法以外の行政法レベルのマンションの管理の適正化を図るための法律が必要との判断から、平成12年12月、議員立法により「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(以下「マンション管理適正化法」といいます。)が制定されました。
 マンション管理適正化法の目的は、マンション管理の適正化を推進するための措置を講じ、マンションにおける充実した居住環境の確保を図ることで国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することにあります。
そして、その実現のために、一方でマンション管理士制度を創設し、他方でマンション管理業者の登録制度を設けたという2つの措置を中心に、規定が設けられています。

1 マンション管理適正化法の概要
 マンション管理適正化法はマンション管理の適正化を推進するための措置として、①管理組合の管理者等の相談に応じ、助言、指導等を行うことを業務とするマンション管理士資格を創設しています。
また、②マンション管理業者の登録制度を創設し、国がその業務を規制するとともに、管理業者の団体を指定して、自主的に業務の改善を行わせています。
当該団体は管理業務に関する苦情の解決等にもあたります。
そして、③国及び地方公共団体は、マンション管理の適正化に資するための必要な措置を講ずるものとしています。
国の具体的な措置としては、国土交通大臣が「マンション管理適正化指針」を定めるとともに、マンション管理適正化推進センターを指定して管理組合に対する助言・支援等にあたらせることなどを規定しています。
現在、(公財)マンション管理センターが推進センターとして指定されています。

2 マンション管理適正化指針
 マンション管理適正化法では、国土交通大臣は、管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針(マンション管理適正化指針)を定め、これを公表するものとしています(マンション管理適正化法3条)。
管理組合は、これに留意して、マンションを適正に管理するように努めなければなりません(同4条)。
その意味で、同指針は、国が管理組合に対してマンションの管理のガイドラインを示したものとして重要な意義を有しています。

「マンションの管理の適正化に関する指針」では、次のように述べています。
各区分所有者等の共同生活に対する意識の相違、多様な価値観を持った区分所有者間の意思決定の難しさ、利用形態の混在による権利・利用関係の複雑さ、建物構造上の技術的判断の難しさなど、建物を維持管理していく上で、多くの課題を有している。 
マンション管理業は、このように複雑化、高度化が進んでいるマンションの現状に対応しなければならない。

[関係条文]
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
一 マンション 次に掲げるものをいう。

イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設
ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設

② マンションの区分所有者等 前号イに掲げる建物の区分所有者並びに同号ロに掲げる土地及び附属施設の同号ロの所有者をいう。
③ 管理組合 マンションの管理を行う区分所有法第三条若しくは第六十五条に規定する団体又は区分所有法第四十七条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)に規定する法人をいう。
④ 管理者等 区分所有法第二十五条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者又は区分所有法第四十九条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定により置かれた理事をいう。
⑤ マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。
⑥ 管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。
⑦ マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。
⑧ マンション管理業者 第四十四条の登録を受けてマンション管理業を営む者をいう。
⑨ 管理業務主任者 第六十条第一項に規定する管理業務主任者証の交付を受けた者をいう。

(マンション管理適正化指針)
第三条 国土交通大臣は、マンションの管理の適正化の推進を図るため、管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針(以下「マンション管理適正化指針」という。)を定め、これを公表するものとする。
(管理組合等の努力)
第四条 管理組合は、マンション管理適正化指針の定めるところに留意して、マンションを適正に管理するよう努めなければならない。
2 マンションの区分所有者等は、マンションの管理に関し、管理組合の一員としての役割を適切に果たすよう努めなければならない。

○マンション管理士
1 マンション管理士
 マンション管理士とは、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンション管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導、その他の援助を行うことを業務とすることのできる国家資格取得者です。

2 マンション管理士の業務
 マンション管理士の具体的な業務としては、マンションにおける管理組合や理事会の運営、区分所有者間のトラブルや管理組合と区分所有者間のトラブルの解決、建物や設備の維持、管理組合の会計、集会の運営、規約の設定・変更、管理業者との契約に関する事項などについて、管理組合の管理者等の相談に応じ、助言、指導、その他の援助等を行うことなどが挙げられます。
 マンション管理士でない者もそれらの業務を行うことはできますが、業務を行う際に「マンション管理士」やこれと紛らわしい名称を使うことはできないとされています(マンション管理適正化法43条)。

3 マンション管理士の義務
 マンション管理士には、定期的に講習を受ける義務(マンション管理適正化法41条)や、信用失墜行為の禁止(同40条)、秘密保持義務(同42条)があります。秘密保持義務については、マンション管理士ではなくなった後でもその業務に関して知り得た秘密は漏らしてはならないことになっています。
マンション管理士がこれらの義務に違反した場合は、国土交通大臣によって処分がなされます。(同33条第2項)

○マンション管理業及び管理業務主任者
1 マンション管理業
 管理組合から委託を受けてマンションの管理に関する事務を行う業者は、国土交通大臣への登録が義務づけられています。そして、この登録を受けたマンション管理業者は、一定数の管理業務主任者を事務所ごとに置かなければなりません。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律「マンション管理適正化法」では、マンション管理業者がマンションの管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約「管理受託契約」を締結して業務を行う場合に守らなければならないルール等、業務に関する規定(業務規制)を定めており、これに違反した場合には指導・監督の対象となる場合があります。
さらに、業務規制として、重要事項の説明、契約成立時の書面の交付、財産の分別管理、管理事務の報告等が義務づけられています。

・マンション管理業者に対する監督
 マンション管理業者は、マンション管理適正化法はもとより、業務に関連するその他の法令等の規定を遵守してマンション管理の適正化を推進することにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図っていくことが求められています。
 しかしながら、必ずしも、マンション管理適正化法及び業務に関連するその他の法令等の規定が遵守されず、業務の適正な運営等が確保されない場合が考えられますので、このようなことに備え、マンション管理適正化法の規定に違反した場合等について監督処分の規定が設けられています。
 国土交通省では、マンション管理適正化法の規定に基づき、マンション管理業者に対する監督処分を行っています。

・マンション管理業者に対する業務規制の内容
法「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」及び国土交通省令「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則」による。
■管理組合に対する説明・報告義務
マンション管理業者は、マンション管理組合と管理受託契約を(1)締結しようとするとき、(2)締結したとき、(3)委託を受けた管理組合の事業年度が終了したときには、それぞれ管理組合に対し説明や報告をする義務があります。 

(1)管理受託契約を締結しようとするとき【重要事項の説明】
 マンション管理業者は、マンションの管理組合と管理受託契約を締結しようとするときは、法第72条の規定により、重要事項について説明することが義務づけられています。

(2)管理受託契約を締結したとき【契約成立時の書面の交付】
 マンション管理業者は、マンションの管理組合と管理受託契約を締結したときは、法第73条の規定により、契約成立時の書面を交付することが義務づけられています。
 国土交通省では管理組合とマンション管理業者が締結する管理委託契約書を契約成立時の書面として交付する場合の指針としてマンション標準管理委託契約書を作成して公表しています。

(3)管理組合の事業年度終了後【管理事務の報告】
 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合の事業年度が終了した後は、法第77条の規定により、当該 期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について、管理事務報告書を作成し報告することが義務づけられています。

■管理組合財産の分別管理義務
 マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金等の財産については、法第76条の規定及び国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければなりません。

■その他の義務
(1)標識の掲示義務
 マンション管理業者は、法第71条の規定により、事務所ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲げなければなりません。標識は国土交通省令により様式が定められています。

(2)再委託の制限
 マンション管理業者は、法第74条の規定により、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については、一括して再委託することが禁止されています。
:基幹事務とは・・・
管理組合の会計の収入及び支出の調定
出納
マンション(専有部分は除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整を言います (法第2条第1項第6号)。

(3)帳簿の作成義務
 マンション管理業者は、法第75条の規定により、管理組合から委託を受けた管理事務については、管理受託契約を締結したつど、帳簿を作成し、保存しなければなりません。

(4)書類の閲覧義務
 マンション管理業者は、法第79条の規定により、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類(業務状況調書等)を事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じて閲覧させなければなりません。
業務状況調書は国土交通省令により様式が定められています。

(5)秘密保持義務
 マンション管理業者及びその使用人その他の従業者は、法第80条及び第87条の規定により、正当な理由なく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないこととされています。

(6)従業者証明書の携帯等の義務
 マンション管理業者は、法第88条の規定により、使用人その他の従業者に、その従業者であることを証する証明書(従業者証明書)を携帯させなければその者を業務に従事させてはいけません。
 従業者証明書は国土交通省令により様式が定められています。

2 管理業務主任者
 管理業務主任者とは、管理業務主任者試験に合格後、国土交通大臣の登録を受けた者であって、5年毎に更新される管理業務主任者証の交付を受けた国家資格者です。
 管理業務主任者は、管理の前提となる管理受託内容の重要事項説明から、受託した管理業務の処理状況のチェック及びその報告に至るまで、マンション管理の枢要なマネジメント業務を担います。
 マンション管理適正化法では、管理業務主任者の業務として、
 ① 委託契約の内容及びその履行に関する重要事項について、区分所有者等に対する説明会において説明すること(72条)
② 重要事項を記載した書面及び契約成立時の書面に対する記名押印(72条5項、73条2項)
③ 管理組合に対する管理事務の報告(77条2項)
が規定されています。

◎標準管理委託契約書
 現在、多くのマンションでは管理組合がマンション管理業者と契約をし、管理業務を委託していますが、契約成立時に交付する書面としている場合の指針として国土交通省から「マンション標準管理委託契約書」が示されています。
 マンション標準管理委託契約書は、典型的な住居専用の単棟型マンションに共通する管理事務に関する標準的な契約内容を定めているものです。
そして実際に契約書を作成するに当たっては、個々の状況や必要性に応じて、内容の追加、修正を行いつつ活用されるべきものとされています。
 同契約書においては、マンション管理適正化法第2条第6項に定める管理事務をマンション管理業者に委託する場合を想定しているので、警備業法に定める警備業務、消防法上の防火管理者が行う防火管理業務等は契約の内容に含まれてはいません。

 マンション標準管理委託契約書は、第1条から第24条までで構成されています。それに、別紙1、2及び別表第1~第4が付されています。
この標準管理委託契約書に規定されている主な事項は以下のとおりです。
(1)マンション管理事務の内容及び実施方法(3条、4条)
(2)管理事務に要する費用の負担及び支払い方法(6条)
(3)管理員室等の使用(7条)
(4)緊急時の業務(8条)
(5)管理事務の報告等(9条)
(6)管理費滞納者に対する督促(10条)
(7)有害行為の中止要求(11条)
(8)専有部分等への立入り(13条)
(9)管理規約の提供等(14条)

○マンション管理委託契約には委任と請負の2つの業務内容・業務契約があります!
マンションの管理組合の多くは、管理業務の一部または全部を管理会社に委託していますが、管理組合と管理会社との契約関係について、両者間で交わされる「管理委託契約」、そこに「両者の関係」が記されています。
この契約には「委任契約」と「請負契約」の2つが混合しています。
見方を変えれば「管理会社は2つの立場を持っている」ということになります。

・委任契約とは
委任契約とは、管理組合(委任者)が行う事務(契約の目的)を管理会社(受任者)に業務委託して処理する契約のことを指します。
専門家の見解として、管理組合と管理会社の業務委託は、「委任」ではなく「準委任」に該当するとされます。
▶ 委任(民法第643条)
当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
▶ 準委任(民法第656条)
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

管理委託契約の中の業務で言えば、事務管理業務(会計業務、出納業務、建物維持の企画・実施の調整、管理組合の運営補助など)、管理員業務が委任契約に該当します。
ただし、管理員業務について、その管理員が日常清掃を兼ねている場合は、その清掃業務の部分は請負契約に該当しますので、委任契約と請負契約が合わさった契約と言えます。

・請負契約とは
請負契約とは、管理会社などの業者(請負者)が仕事(契約の目的)の完成を約束し、管理組合(発注者)がその仕事の結果に対して報酬を支払う契約のことを指します。
▶ 請負(民法第632条)
当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力が生じます。

管理委託契約の中の業務で言えば、管理員業務(清掃業務を兼務する場合)、清掃業務、保守点検業務(定期の建物点検を含む)が請負契約に該当します。

◎マンション管理業の登録制度
マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)第44条には、マンション管理業を営もうとする者は国土交通大臣の登録を受けて国土交通省のマンション管理業者登録簿に登録しなくてはならないと規定されています。
この登録の有効期限は5年。引き続きマンション管理業を営む場合には登録の更新手続きをしなければならない。
無登録でマンション管理業を営むと1年以下の懲役又は50万円以下の罰金という罰則がある。

・マンション管理業者の違反行為に対する監督処分
マンション管理業者による違反行為
マンションの管理の適正化の推進に関する法律第81条の規定による指示処分、法第82条の規定による業務停止処分及び法第83条の規定による登録取消処分が規定されていいます。

・管理業務主任者の設置義務
マンション管理業者(管理会社)は、国土交通省へのマンション管理業の登録の際において、事務所ごとに30管理組合に一人以上の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。
ただし、人の居住の用に供する独立部分が5以下のマンション管理組合から委託を受けた管理事務を、その業務とする事務所については、成年者である専任の管理業務主任者の設置義務は無い。(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第56条,施行規則第61条および第62条)

・2001年にマンションの管理の適正化の推進に関する法律が施行され、消費者保護等の観点から、マンション管理業者は管理組合と管理委託契約を締結する際に事前に管理業務主任者による重要事項説明を行う、重要事項説明を踏まえ契約内容を書面で管理組合に交付することが義務付けられています。

*マンション管理の問題点
1979年設立のマンション管理業協会は、日本におけるマンションについて「分譲マンションが都市型住宅として定着し、管理問題が社会的に大きくクローズアップされた」としています。
マンション管理は、まず分譲されたマンションの問題として注目され、分譲後経年の進んだマンションも増えて、経年劣化や区分所有者の変動、不在化といった問題も重要となっています。

・一般社団法人マンション管理業協会、略称・管理協、は、マンションの管理業務を行う法人・個人で組織された業界団体。日本国内のマンションの約87%は高層住宅管理業協会の会員によって管理されている。
活動内容
マンション管理に関する調査研究、資料の収集、広報。
マンションの管理費等の保証事業。
マンション管理適正化推進法に基づく管理業務主任者の試験及び指定講習の実施。
民間資格区分所有管理士・マンション維持修繕技術者試験の実施。

◎マンション建替え
マンションの建替えは、区分所有者全員の合意に基づいて実施する方法以外に区分所有者及びその議決権の各5分の4以上の多数の賛成によって成立する建替え決議に基づいて実施する方法があります。
建替え決議が成立すると、その決定内容を円滑に実現できるようにするために制定された「マンション建替え円滑化法」に基づいてマンション建替え事業を円滑に実現することが可能です。

「マンション建替え円滑化法」という新しい法律
区分所有法は、建替え決議については規定していますが、決議成立後の建替え事業の実施についてはなんら規定していません。
しかし、実際の建替え事業においては、この段階で問題が発生し、事業を円滑に進めていくのが困難になることが少なくありませんでした。
この状況を改善するために、平成14年6月に「マンション建替え円滑化法」という新しい法律が施行され、建替え決議成立後の円滑な事業の実施が可能となりました。

◎マンション建替え円滑化法
マンションは今や我が国における主要な居住形態の一つとなっており、マンションを社会的資産として位置付け、その資産価値をできる限り保全し、快適な居住環境が確保できるよう、日常の管理を適正に実施しそのストックを有効に活用していくことが重要です。
しかし、修繕や耐震改修等のみでは良好な居住環境の確保や地震によるマンションの倒壊その他の被害からの生命、身体及び財産の保護が困難な場合には、円滑に建替え等を行い、より長期の耐用性能を確保するとともに、良好な居住環境や地震に対する安全性の向上を実現することが必要です。

マンション建替え円滑化法の概要
マンションを建替えるとき、建替えを計画するときに関係する法律です。
・ マンションの建替えを円滑に進めるための様々な手続きや方法が定められています。
・ 建替えに賛成する区分所有者からなるマンションを建替えるための団体(マンション建替組合といいます)が建替えを進めるときの手続きが定められています。
・ マンションを所有する権利などを建替え後のマンションに移す仕組みが定められています。
・ マンションが老朽化して、火災や地震のときに安全でなくなるなど、住宅として不適当なマンションの建替えを促すために公共団体が係わる仕組みも定められています。

○マンション建替え事業のより円滑な運用を目的として、2014年に円滑化法の一部が改正されました。
4/5以上の賛成で敷地売却も可能に~耐震性が不足しているマンションの再生に選択肢が広がりました。
・耐震性不足の認定を受けたマンションについては、区分所有者等の5分の4以上の賛成で、マンション及びその敷地の売却を行う旨を決議できることとする。
・耐震性不足で建替えが求められるマンションに限り、一定の条件を満たせば容積率が緩和されるよう改正されました。

○改正マンション建替円滑化法が成立/公布から2年以内の施行めざす [2020年6月17日]
外壁タイルの剥落などで居住者や近隣住民らに危険が及ぶ可能性が高い老朽マンションなどを「マンション敷地売却制度」の対象に追加。維持修繕が困難な老朽マンションの建て替えを後押しする。

◎被災区分所有建物の再建に関する特別措置法(被災マンション法)
被災マンション法とは
平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災後に公布された法律で、正式名称を「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」といいます。
建物が全壊した場合には、区分所有関係も消滅し、区分所有法の適用がない状態となります。
民法の規定では、マンションを再建築するためには全員の同意が必要となってしまい、誰かひとりでも同意が無い場合には再建が進まない、といった弊害が生じ、作られました。

大規模災害によりマンション等の建物が全壊し、区分所有建物としての権利が消滅した場合、残されているのは共有敷地権のみとなります。
建物を再建するためには、敷地共有者全員の同意がなければならないとする民法の規定により、なかなか再建が進まない事態になりやすい。そのため、敷地共有者の5分の4以上の多数議決により、再建を行えるようにしたものです。

・改正後の被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(改正被災マンション法)の概要
①政令で定める大規模な災害により重大な被害を受けた区分所有建物について5分の4以上の 多数により取壊しや売却を実現する決議 制度を創設
・取壊し決議
(建物を取り壊す)
・建物敷地売却決議
(建物をその敷地とともに売却する)
※適用政令の施行の日から起算して1年以内

②政令で定める大規模な災害により滅失した区分所有建物の敷地について5分の4以上の多数 により売却を実現する決議制度を創設
・敷地売却決議
(敷地を売却する)
・再建決議
(敷地に区分所有建物を再建する)
※適用政令の施行の日から起算して3年以内

□マンション生活・運営の基本的な考察、あるべき形等の「基本的情報の共有」こそが極めて重要と思われます。
*基本的情報の一つとしてマンションの老朽化が挙げられます。
 マンションの老朽化とは、マンション建物の劣化を意味します。
 それはマンションの築年数と共に進行していきます。
 マンションが構造物である以上当然のことと言えます。
 マンションの現状がどうなっているか、それは建物の状態を常に把握しているかどうかです。
 旧耐震基準で建てられたマンションの耐震補強の必要性が叫ばれて久しいですが、これも現状把握に基づく対応と言えます。
 常に健全な状態にマンションを保つ、これは不断の努力であり、終わりはありません。
 このことの認識も大事な基本的情報の共有の一つです。

*マンションの経年化に伴う困難な課題 
 マンションを取り巻く社会情勢の変化等

居住者の高齢化、核家族化の進展による老老介護、そして一人暮らしの現実化、それに連なる孤独死が悲しい事実として懸念されます。
 賃貸化の進行による不在オーナーの増加、それに伴う無関心者の増加、それから波及する管理費等の滞納者の増加、それによる管理組合財政の圧迫など影響は拡大していきます。
 居住者の高齢化の影響の一つに役員のなり手不足が指摘されています。

 このようにマンションの高経年化により、将来的に様々の課題・問題が予想されます。
 これらはマンションの特質というより、まさに日本の社会現象と言えます。

☆「旧耐震マンション」の建築時期について
建築基準法の改正によって、建物の耐震基準が厳しくなったのを境に、それ以より前の耐震基準を「旧耐震基準」、それ以後の耐震基準を「新耐震基準」と呼びます。
 「基準が厳しくなった時期」は昭和56年(1981年)6月。
 この年の6月に建築基準法が大きく改正され、建物の耐震強度の最低基準が引き上げられました。
そのため、建築確認済証の日付が6月1日以降になっている建物は「新耐震基準」、それより前の建物は「旧耐震基準」と呼ばれることになりました。
 つまり、建築確認済証の交付がこの年の6月1日より前か後かで、基準となっている耐震強度が異なることになるのです。
 旧耐震マンションの中には、大規模修繕時などに耐震補強を施されたことで、新耐震基準を満たしているものもあります。
 早急な対応が求められています。

◎マンションの構造
マンションの構造は鉄筋コンクリート造(RC)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)などの耐火構造です。
多くはコンクリート系の構造ですが、まれに、鉄骨造(S)などもあります。

・RC造とSRC造の違いは、材料の差
 マンションの構造でよく聞く言葉に、RC造(Reinforced Concrete)とSRC造(Steel Framed Reinforced Concrete)という用語があります。
RC造とは「鉄筋コンクリート造」、SRC造とは「鉄骨鉄筋コンクリート造」のことで、両者の違いは構造部分に使われている材料になります。
 本体の材料が、RC造はコンクリートと鉄筋の組み合わせ、SRC造は鉄骨の骨組みに、コンクリートと鉄筋の組み合わせでつくられています。一般的にマンションの多くは、この2つのどちらかの構造になります。

・RC造/鉄筋コンクリート造
Reinforced Concrete は直訳すると「補強されたコンクリート」。
主に柱や梁、床・壁が鉄筋とコンクリートで構成されていて、鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めたものを指します。
特徴的なのは、2つの材料を組み合わせることでマンション建設に必要な強度を出している点。
●鉄筋……引張力(引っ張る力)には強いが、熱に弱く錆びやすい
●コンクリート……熱に強いが、引張力(引っ張る力)に弱い
熱に弱い鉄筋をコンクリートで覆い、熱から鉄筋を守って酸化を防ぎます。
一方コンクリートは上から押さえつける「圧縮」に対する抵抗力はあるものの、「引張力の弱さ」が課題。
これを引張力に長けた鉄筋で補強しています。

鉄筋とコンクリート両者の短所をうまく補いあうことで、さまざまなメリットを生み出しています。
RC造はこのように逆の特徴を持った鉄筋とコンクリートが、お互いの長所を生かしつつ短所をカバーし合うことで、マンションに必要とされる強度を保っています。
型枠にコンクリートを流し込んでつくるため、建物の形を比較的自由にできることから、現在立っているマンションにも多く取り入れられています。
近年では、超高層のタワーマンションでも高い強度のあるコンクリートを使い、RC造でつくられることが多くなっています。

・SRC造/鉄筋鉄骨コンクリート造
SRC造は鉄骨の柱の周りに鉄筋を組み、コンクリートを打ち込んで施工した物件のこと。
大型マンションやビルなど大規模な物件の場合、SRC造の工法が多く使われています。
鉄骨を使わないRC造よりも耐久性が高い構造といえるでしょう。
RC造とS造の両方の長所を持ち合わせていて、RC造よりも強く、7~8階建て以上の中高層マンションに多く用いられています。
SRC造の最大の特徴は「鉄筋コンクリート造(RC造)の耐久性と、鉄骨造(S造)のもつしなやかさを併せ持っている」という点です。

・建物の骨組みは人間の骨と同じように、まず頑丈であることが求められます。
建物本体の重さを長期に渡って支え、地震や強風などで建物の外から加わる力に対して耐えなければなりません。
普段は意識しない建物の内部構造。しかし、構造は住みやすさに関わる大事な要素です。

○法人税は企業だけではない、「マンション管理組合」にも課税される場合があります。
管理組合が建物の一部を第三者に有償で使用させて対価を得た場合、その収益事業から生じた収入には法人税が課税されます。
 管理組合は営利を目的としない非営利団体です。収益事業を行っている分譲マンションは決して多くありません。
分譲マンションは管理費と修繕積立金、そして敷地内の駐車場使用料を組合収入の柱(主な収入源)としており、こうした収入に法人税は課税されません。
駐車場使用料には課税されないと述べましたが、それは「マンション居住者に賃貸した場合」という条件が付いた場合の話です。
 近年、マイカー離れで敷地内駐車場に空きが目立つようになり、その駐車スペースを居住者以外の第三者(不特定多数)に賃貸するケースが見受けられます。これは収益事業となり、その収入には法人税が課されます。
こうした行為は法人税法上の駐車場業に該当するため、営利を目的とした行為とみなされ、管理組合には税金が課されます。

*管理組合は非営利団体ですが、収益事業から生じた収入には法人税が課税されます。
また、消費税は項目によって課税される場合と課税されない場合があります。
他方、固定資産税は一切、課税されません。

*「マンションの寿命」=「建て替えを必要とするタイミング」といえます。
建て替えたいと思った瞬間が建て替え時(=寿命の到来)なのです。必ずしも耐用年数は関係しません。
居住者ニーズが寿命を左右するわけです。われわれ人間とは異なり、マンションは「長寿を尊し」とはしないのです。

○マンション管理と資産価値の関係
マンションは動かない資産であり、立地に関しては、外的要因は自身で何とかすることはできません。
一方マンションの管理に関しては、居住者の意識如何によって対応可能です。
つまりマンション管理は内的要因です。これは管理がしっかりすることで資産価値は維持できます。

▼マンションの空き家は、傍からはわかりません。
気が付いたころには「管理組合で所有者がわからない空室があった」なんてことにも。
人口減少、少子高齢化を前に、中古マンション市場のストックは積みあがるばかり。
「売れない」「貸せない」マンション空き家は今後、全国で着実に増えてくるでしょう。

▼「負動産」とは
 流動性が著しく劣る不動産は、いわゆる“負動産”と言える。
 分譲マンションにおいても、築50年を超えるような建物は老朽化とともに居住者も高齢化し、その結果「空室」が増えてくるのは避けられない。
 空室のままにしても固定資産税と維持費はかかる。
 売ったり、貸したりしたくても‘建物の質’や‘立地面’で問題のある物件は需要がないと言えます。
 空室の増加は個人の負担を増やすだけに留まらず、マンション全体の資産価値を大きく落とす。
〔日本は世界のどの国も経験したことのない、急激な人口減少と高齢化に直面している。〕

▲マンション資産価値「激減」の恐怖、逗子の斜面崩落・武蔵小杉タワマン水害等
災害に強いとされてきたマンションが、被災を機に資産価値を一気に損なう事態が頻発しています。
では、災害に弱い物件を見抜くには、どうしたらよいのか。
  国土交通省がウェブサイト上でサービスを提供する
「ハザードマップポータルサイト」は、国や自治体などの防災情報に基づき、ピンポイントでその場所が抱える災害リスクを誰でも地図上で調べることができます。
「土砂災害」だけでなく、「洪水」や「津波」といった様々な災害リスクを重ねられるため、非常に有用です。
これら情報を活用することも必要です。














 田中喜藏

マンションは「安心安全の終の棲家」でありたい。